【第2回】小型高精度カレントトランス ”GEO MACK” EI-16Hの技術解説
第1回からの続きになります。
効果
その効果は例えば20Aブレーカの場合、通電可能電流値の差は20A×(3%ー0.5%)⇒ 0.5Aとなり、200V系電源とすれば200V×0.5A⇒100Wの差が生まれ、これにヒートポンプの300%~500%といわれる熱変換効率を仮に400%とすると100W×4.0⇒400Wとなる。これは家庭用一般電熱器1000W~1200Wの1/2~1/3に相当し、約400W程度の急速冷暖房効果が追加して得られるということになる。
この限界に迫る急速冷暖房効果は定格を基準とする現在の国内省エネルギー法では評価対象には含まれないものの、部屋別に電源を入れ省エネ冷暖するヒートポンプ式インバータ式エアコンでは、厳冬の欧州や酷暑の米国などにおいてお客様の強いニーズに則するもので、実使用にて大変有効に機能することが想定される。
搭載するセットの実装設計ではカレントトランスの2次出力側に終端抵抗を配置し、その両端電圧を検出するので終端抵抗の許容差±0.5%が加わることになり、実質許容差は±0.5%(カレントトランス精度)+ ±0.5%(終端抵抗許容差)⇒±1.0%と悪化する。ここで新たな改良アプローチとしてセットインバータ制御設計の協力を得て、実質±1.0%と悪化する出力電圧の精度の良化を図る手段として、ケース表面へ製造出荷検査時全数個々に測定した出力電圧値をデータマトリクス印字し、これをセット生産ラインにてリーディングし、個々にインバータ回路制御ICにライティングすればカレントトランスの出力電圧精度は実質±0%になる。これにて残る終端抵抗の許容差±0.5%のみとなりブレーカ機能としての電流設計の狙い値の高精度化はこれらにより磁気方式でありながら、終端抵抗を含むセット実装設計した状態での出力電圧精度で±0.5%を達成できる。
尚、50Hz、60Hz毎の出力電圧はケース表面に別々に表記しており、インバータ回路制御ICで周波数検出により演算処理することが可能である。またデータマトリクス表示はQRコードに比較してコンパクトであり、各種トレーサビリティ機能として活用できる。この小型ケースは周囲部品との基礎絶縁を図ると共に自動実装を可能とする形状としている。外観図と共に 【図1】 に示す。
【図1】小型・高精度カレントトランスEI-16H外観図 データマトリクス表示 例
以降は第3回に続きます。